普遍的でありふれた日常の中にある小さな幸せやその人の人生をも変えうる一期一会のかけがえのない出逢いの尊さ、どんな人生でも肯定し愛おしいと思わせてくれる素敵な作品◎
暗いニュースが多く誰にいつ何が起こるかわからない昨今の世の中だからこそ、四季折々な自然の風景や大切な人と過ごせる日常がいかに幸せであたりまえなことではないんだと改めて感じさせてくれた。
音楽と写真と本と…アート面におけるセンスの高さや日本的格式・儀式への描き方に見られる日本愛の高さが窺えた。ヴィム・ヴェンダースの音楽愛や古き良き日本文化への熱い想いがこれでもかと伝わってくる映像に仕上がっていて、どこか懐かしさや寂しさを同時に感じる場面が多々あった。ジム・ジャームッシュの『パターソン』を想起させるメッセージも随所に感じ、日々の喧騒や忙しなさに託けて淡々と過ごしてしまいがちな自分には、慎ましい生活を大切にしようとする主人公の生き方を始めとしたあらゆる要素が刺さりまくった。表情で魅せ表情で物語る役所さんの演技が流石だなと終始強く感じた。
