Ryoma

52ヘルツのクジラたちのRyomaのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.4
社会的マイノリティーの人や人知れず理不尽で壮絶な苦しみに耐えうる人にとって、世界はあまりにも残酷で生き辛すぎる。死にたいほどに苦しくても内に秘めた思いを曝け出したり声を上げたりすることがどんなに容易でないのかは言うまでもなく。そんな世界で苦しみに真の意味で寄り添い分かち合ってくれる人の存在はあまりにも尊くてかけがえのなくて。歩んできた人生や経験は違えど、お互いに心の底から分かり合える人・相手の優しさや愛に気づける人というのは、計り知れないほどの苦しみや悲しみを経験し背負ってきたからなのだと思う。その糧で生まれた絆や繋がりは“愛“とか“恋“とかで括れないほどに美しくて何もにも変えられぬほどにかけがえのないもの。誰かの優しさがまた誰かに伝わり、また他の誰かを救い希望となりうる光になる。絶望の中でも一縷の“希望“を捨てないという強い決意が感じられるsaucy dogの主題歌が前に進む勇気をくれるようで良かったし、歌詞中の“君“の存在から、誰かの優しさや想いやりで救われている今の生活は改めてあたりまえではないのだと感じた。
メンタル面でも難しそうな役どころの杉咲花さんと志尊淳さんの2人の演技が凄すぎて大袈裟じゃなくて圧倒された。朝ドラで応援していた2人の姿が、こんな素晴らしい形でお目にかかれて良かった。
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