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PERFECT DAYSのhikarouchのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
静かなアート映画だなーこれ2時間見てられるかなー、とちょっと不安になったんだけど、後半の展開でガッツリ心掴まれて、終わってみたらとっても良い映画だった。

柄本時生がどうしようもないやつで、遅刻はするし金にも女にもだらしなくてお礼も挨拶も出来なくてもうダメじゃん(役柄の話です)と思わせてからのあの幼馴染との絡みが良すぎてもう。
そこから、姪っ子、妹、さゆり、友和で完全にノックアウト。最高です。

紫色とオレンジ。LALALANDかと思うほどにカラーコーディネートに意図を感じる作品。

役所広司は最初完全にムショ上がりのオジサンにしか見えなかったんだけど(「すばらしき世界」のせい)、これまた気づいたら無口で人の良いトイレ清掃の芸術肌な奇人にしか見えなくなっていた。ここ数年の役所広司のかわいげはすごい。

ここまでルーティーンを作り上げる人は本当にいるのだろうか。同じPERFECTな毎日を繰り返してたら頭おかしくなりそう。まあ本作では、色々な人物が平山の人生に入ってきて、全然同じ毎日ではないのだけど。

友和はずるいなあ。渋オジふたりがタバコでむせてるの笑うし、はあはあ言いながら影踏みやってるのも笑える。重たい告白をしてもなお笑わせるんだからすごいね。

姪っ子とのやりとりも、妹との束の間の再会も、良かったねえ。あの抱擁は、今生の別れだったんだろうな。泣けたわ。
「良い子だ」「どうだか」

カセットテープで流す音楽もどれも良かったね。

誰しもが思ったことだと思うけど、都内の公共トイレの意匠デザインえぐすぎね。いくつか知ってるところも出てきて楽しかった。

実際のトイレ掃除はもっと汚くてしんどいと思うけど、ある種のファンタジーというか、絵本みたいな映画だった。

すべてのトイレ清掃の方々、いつもありがとうございます。

一年の締めくくりに相応しい作品を見れて良かったわ。来年はもっと劇場いく。
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