ちくわ

PERFECT DAYSのちくわのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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フィルム。4:3。夜明け前の街並み。
冒頭からいきなり引き込まれた。
静寂に差し込むビビッドなライティングを観て、ヴェンダースだと感じた🟣 沁み入る影。木漏れ日。
下町。TOKYO。
日本のトイレの衛生度は世界随一と聞いたことがあるが、それを物語るかのような斬新で、行き届いた公衆トイレの数々と徹底した清掃をなす主人公。

きれいなトイレもそれを保つ人の存在も当たり前の事として処理され、それどころか訝しむ者さえいる中、
すべて大切な事として男は手を抜かない。
目に映るもの、誰もが素通りするような発見、見守り慈しむ日々。

そして、透き通った水に垂らされた絵の具のごとく、おとずれたわずかな変化。
みるみる別の色に心のうちは満たされ、揺れ動いていく。

ひとたび眠りにつくと、胸の内にやきついた過去は、
色のない世界で光と影のまぼろしとして整理される。そしてまた違う朝が訪れ、少し違う1日がまた始まり
愛憎も悲哀も、すべて余す事なく愛すべき人生の一部なのだと語るかのように、歌は流れる。

劇場を出た後に広がる現実の風景が
いつもより愛おしく感じた地続きの映画。
ちくわ

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