このレビューはネタバレを含みます
今まで観てきた近藤龍人さんが撮影の作品で一番ズシンと重く、痺れた作品だった。
静かな映画だけど、カメラアングルから裏に絶対なにかあると感じずにはいられない奇妙な高揚感があって、
見ている間ふわふわした感覚にとらわれていた。カメラが浮遊してるような感じ。
どのカットもすごいポジションにある。
家族、子どもに対する距離感と目線が優しく、傷ついた感情が痛烈に伝わってきて、そしてあざとさがない。ハイライトも影もぷわ〜っと柔らかくなっている独特なルックの前半とミステリーで冷たく、硬いルックの後半。
どんどん違う世界へと誘われていった。
想像のできない境地なのに、伝わってくる表現力。
でんでんがボクサーの指導役とか小籔さんがベタベタに関西人とか、ちょっとステレオタイプ的な配役は気にかかったけど、
カトウシンスケさんがこんなに重要な役どころで実力発揮されていて感無量。
なんでこの役は真木よう子なんだろーと思ってた矢先に家族団欒中のアレと、妻夫木の震え上がるようなラストがきた。
ほんと妻夫木聡、裏表の感情の表現がすごすぎた。