淡々系。ルーティーンワークに埋没した日々にもちょっとした喜びや気付きを得られる人、微細なこだわりや趣味、几帳面さを持ち合わせている人にはそれそれと頷ける共感ポイントが多かった作品かもしれない。
細部まで完璧なスケジューリングのように見えても誰にでも予期せぬことが起きるのが人生で、気を揉むことも小さなストレスも、あるいはある種の愉快さや滑稽さも全てを包み込んで生きている感じはよく伝わってくる。その人物像の形成が過去どういう後悔を経て獲得してきたのかがじんわり染み出してくる"日々"の見せ方、そしてその日々も十人十色だよって包括されたメッセージには救われる感がある。超無口で無愛想な平山（役所広司）でも天涯孤独になりきらずに、仕事の同僚や行きつけの飲み屋、親戚とも程良い距離感を保ちつつ、地域コミュニティの中でひっそり暮らす生き方上手さは鏡のようだった。ただシーンの切れ目で差し込む木漏れ日はちょっとくどかったし（日本人以外に向けて解説も入れてたね）、尺は少し長いなと感じてしまった。1時間半くらいがちょうど良かったかも知れない。
