サムカワ

落下の解剖学のサムカワのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.4
「インスト版でした!!」

ものすごく綿密な会話劇といった感じで、その言葉のチョイスもテンポも心地いいけど、描かれてることはしんどくて重い。

検察側の口調が終始嫌いで「言い方ってもんがあるだろボケ!!!」と心の中で怒鳴っていたんですが、まさにこの「言い方」的なるものを描いた作品でもあるよな〜とも。

真実云々よりも、その真実を誰がどう受け取って、どんなスタンスで、どんな言葉を選んで発するか。それによって人は何を信じるのか。
証拠を元に冷静に話を聞いて判断をしなければならない裁判という場だからこそ、そこが浮き彫りになってくる。

夫婦喧嘩のテンションの上がり下がりがむちゃくちゃリアルだったり、息子さんの奮闘がショッキングかつ涙ぐましかったり…上映時間は長いし明確なカタルシスを生むタイプの映画じゃないけど、見どころはたくさんあって飽きないし、やっぱり無類に面白い。

報道カメラっぽいカメラワークが多いのは狙いとして、前半何箇所かデジタルズームとかデジタル上で画角を動かしたりしてるように見える箇所や、ジンバルを素人が使ったみたいなカメラの挙動があったり、なんだか新鮮というか、不思議なカットいくつかあって、ちょっとメイキングが見たいな〜と思いました。
サムカワ

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