友人に誘われて。
パルム・ドール受賞作といってもテーマとしては本当によくあるものだから、どういう所が特別なのか、という酷く偉そうな態度で見てしまった。でもなー 今までも、これがパルム・ドール…?っていうのは何個もあったしなー 俺はヴェネチアの方が好み。
田舎の雪山の家に夫婦と盲目の息子、犬の一家。
夫が地面に落下して死んだ。
調査の結果、事故の可能性は早々に排除され、自殺か他殺かという論点で裁判が開始される。
主人公は人気作家なんだけれども、冒頭シーンでそこにインタビューに来た大学生と話してたら上の階から超爆音の音楽が流れてインタビューを中止するという場面は正直笑った笑 後から考えると全然笑えるところじゃなかったんだけど。
夫が亡くなった後は家での辛い日常生活と裁判の繰り返し。登場人物は皆知的で、魅力的だったと思う。
裁判内容としては、母親と息子の証言の矛盾を突く検察官、それに反論する弁護士。
直接的な証拠がほぼないので、単なる解釈、想像で論戦が繰り広げられる。
特に母子の証言(裁判以外でも)は明らかに矛盾しており、そして裁判を重ねていく内にお互いの証言がどんどん変わっていくのでもう訳がわからない。
基本的には母を庇っているように見えたが、単に本当のことを言っていただけなのかもしれない。父も母も、どちらも愛していたから。
そしてこれは映画的な演出なのかもしれないが、裁判を重ねるごとに提出する新証拠の衝撃度がどんどん上がっていって、いや、最初からそれ出せよ!と思ってしまった笑
無限ループが発生する脚本になっており、どちらが正しいのかというのは脚本からは絶対に読み取れないようになっている。
そして裁判で勝とうが負けようが、終わった後には徒労感しかなく、夫が、父が亡くなったという大きな事実は揺るがず、誰も幸せには絶対なれないんだというのが強く伝わってくる映画でした。
パルム・ドールを取った理由は… わからないっす笑