世界一観るべき口論がここにある。
とんでもない大傑作。
これはパルム・ドールやアカデミー脚本賞も納得。
本当にずっと観入ってた。
脚本の構成はもちろんのこと、キャラクターが掛け合う言葉がすべて素晴らしく、それを発している演者も、そして映像的な面白さも完璧だった。
特に法廷でのやり取りと夫婦の口論が凄まじい。次に何を言うのかが気になって仕方ない時間がとても楽しかった。
このキャラクター同士のぶつかり合いは、近年観た映画の中でもトップクラス。
そして、キャラクターがどういう人間なのか徐々に分かっていく展開もとても丁寧。
複雑な背景を持ったキャラクターの見せていない裏の一面を丁寧かつ気迫ある台詞で表現しているところも本当に素晴らしい。
脚本での評価が高くなってるけど、個人的には映像もオシャレでたまらなく好きだった。
そしてザンドラ・ヒュラーの熱演が凄まじい。
カンヌでもアカデミーでもノミネートはされたものの受賞できていないけど、受賞に値する演技。
アカデミー賞は『哀れなるものたち』のエマ・ストーンだったので仕方ないのだけど、これだからノミネートだけでも凄いことだと思う。
これから観る人には、もしかしたら「ミステリーもの」と思ってしまう人がいるかもしれないけど、決してそうではない。
これはあくまで法廷モノであって、ミステリー的な要素は重要ではない。
法廷によって、人間のあらゆる側面が明らかになったとき、人にどう見られるか。
そしてこの映画はフランス映画なので、慣れていなかったり、合わない人は納得しづらいところもあるかもしれないので、そこは事前に理解しておいた方がいいかも。
しかし個人的にはとんでもない大傑作だった。