なみつ

落下の解剖学のなみつのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
ミステリやサスペンスではない。
解剖学でもない。最初ちょろと出るだけ。

ストーリーはまったくちがうけど、
感覚的には「ザリガニの鳴くところ」に近いと感じました。原作の方の。

法廷ものになるんですかね?
陪審員制度だからか、日本の理論とどんでん返しの法廷ものとは少しちがう。
何を言わせて何を言わせないかが最重要ポイントのやつ。
例えば、これは映画にあるシーンなわけではないですが、
「彼女が死んで、あなたは涙を流しましたか?」
「涙は流しませんでしたがわたしの悲しみは深く…」
「涙を流したか流さなかったかだけ答えてください」
「…流しませんでした」
「皆さん聞きましたか!彼は、彼女が亡くなったのに涙ひとつ流さなかったのです!長年連れ添った妻であるにも関わらずです!」

みたいな。そんなんばっかり。でもそれで印象が90度も180度も変わってしまう。法律の知識だけでどうにもならんな、と思ってしまいます。
あと、自分が用意した証人なのに、さも初めて聞く話であるかのように「なんと」みたいな顔して聞いてるのがじわじわきます。


脚本賞には、構成の妙とか多少なりとものエンターテインメント性があるんだろう、という先入観がきてしまうけど今回はちがうやつでした。
納得なのはたしか。
英語とフランス語が入り混じった会話や、夫婦の絶妙なすれ違い、なにげない食事や飲酒シーン、すごくリアリティがあるように感じた。
このへんもっとうまく感想を書きたいけど難しい。

主人公の女性は実際ドイツの方なのかー。はっきり発音してて聞きやすいけどイギリス英語っぽくはない感じが新鮮でした。声のトーンもめちゃ合ってた。


夫婦での鑑賞は避けたほうがよいんじゃないだろうか。
カップルはわからない。

途中、息子くんがお父さんのセリフを再現していた場面のアテレコがぴったりすぎてちょっとおもしろかった。


「だったらわたしが大統領になる可能性もありますね」は何かに使えるかもしれない。
なみつ

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