なみつ

ボーはおそれているのなみつのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
観ている最中は「なんで。え、なんで?」
観た直後は、「ちょっと嫌だった」

という感想だったのに、数日経った今、もやもやが薄くなっている。
また観たい、まではまだいかないけれど、ひょっとしてもうしばらくするとそうなっているかもしれないです。
いやしかしそれにしても3時間は…



【以下観た人と語り合いたい内容】(ネタバレあり)
嫌な不思議の国のアリス ✕ 歪んだ母子のトゥルーマン・ショー

な印象でした。観終わるまではアリス視点なので次何が起きるかわからず、ミッドサマーは「どうあがいても絶望」だったけど、もしかしてこれは希望があるやつなのか?もわからず観ているので終始不安で。

でも今なら、今度はトゥルーマン・ショーの観客の立場で観られるから、またちがった感想になるんじゃないだろうか。



序盤、行き着いた西成のような街での一連の出来事は、強迫観念に囚われたボーの妄想だったのかどうなのか。
すぐそばにいる裸の殺人鬼を放置してるのにボーにあんな反応をする警察官を見るに、やっぱり妄想なのかな…とりあえず、わからない。
わからないのにさ、起きることひとつひとつの嫌さが一部絶妙にあるあるなのが。薬を、食前って書いてたのにまちがえて食後に飲んでしまったときみたいな、飲み方まちがえた?!のときの漠然とした不安感とか、「水を飲まずに服用する方法」を知りたいのに、検索したら「入院・死亡」って結果が出てくるのとか。


さておき、次はシャッターアイランドみたいな展開?これもわからない。ちょこちょこ挟まれる、子供時代の母とエレインとの記憶。

次は自然派レジスタンスとの時間。劇中劇、長っ
メタファーに力入れすぎやろ、と思ったけど、他の方のレビューを見ると、ここがオオカミの家チームのパートだったのかな?それは、削れないね、、!
なんにせよ、わからない。

最後に、因縁の母との対決。
「あれはマーサの手だ」
このセリフだけだよ、この映画で唯一わかったのは。こちら側にいてくれたのは。
観客として、ボーに対しての不信感もすごいから、途中まではボーと母、どちらが狂っているのかわからなかったけど、「母乳を飲んでくれなかった!」のところで「あ…これはあかんやつや」ってなるのが、それまでもちょこちょこそうだったけど、笑うとこなんでしょうね。

母はいっちゃってたけど共感できる部分もあるんじゃないかな。仕事人間で、自分は普通の親のように子供を愛せないんじゃないか。なんとか、母親の努めを果たそうとするのに応えてくれない息子。
息子は自分を愛していないというのも、来てほしいのに妨害工作をしてしまうのも、期待を裏切られたくないゆえの防衛本能だし、そういうのが、歪んではいても愛情なんだと気付いてない感じとかも。

だから最後は和解するかなと思ったけど、そうはならないんですね。


けっこう最初から思ってたのが、この感じでボーは「死にたくない」なんですよね。
それがけっこう意外でした。


この映画のキャッチコピー考えるのめちゃ大変そう…
ママ、きがへんになりそうです。かー
「ママ、いまいくからね。」とかだともうちょい観やすかったかもしれない。
なみつ

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