なみつ

ロブスターのなみつのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.7
これは、ギャグですよね?もはや
「独身者は人として生きる価値なしの近未来」という話だから、何かしらメッセージ性のある作品なのかと思って少し構えて観てたけど。あるのかもしれないけど。
ディストピア・ギャグ。でした。

こういうディストピアの設定考えるのっておもしろそう。だって、絶対に何か意味があるわけですよね。
服装が決まっていることも、自慰行為が禁止されていることも。そういうルールを作るということは、今あたりまえのことがあたりまえってことに気付かないと変えられないわけだから、けっこう大変だと思う。


カップル成立にあたりなぜそこまで共通項が必要なのかまっったく理解できず。偽ってでも合わせにいくスタイルなのがまた。そして偽る側に対し、偽られた側はそれを受け入れないのもちょっとふしぎ。そうまでしても好き、じゃだめなんですね。
デイビッドが冷酷さを演出するためのさまざまな工夫。あれも笑うとこですよね?こらえきれなくなってこっそりめそめそしてるのとか。なんで!なんでなん。いろいろと。

動物になってまで寿命やら生殖能力を気にするのも意味が不明。自我は残るってこと?わたしはある時期からずーっと、生まれ変わるならバッタかな、と思っています。蝗って漢字ちょっとかっこいいんですね。

森の中のレジスタンスも謎。なぜ、狩られるとわかってずっとあそこにいるのか?自ら厳しい罰を科してまで群れる意味ある?
レア・セドゥのあの感じは、とても良い。


音楽もほんとうに独特だなあ。
チャンッ、チャンッ、か、
ジャー!ジャー!のどちらかだった印象。


いろいろ知ってから冒頭を振り返ると、変わってくる受け止め方。

ラストは自分にとってはありでした。すっきりはもちろんしないけど、あの続きはいろいろ考えられるけど、なんだったとしてもあまりよいものではない気がして観たくなかったので。



何よりも驚いたのは!
コリン・ファレル…わたしのイメージでは、隠しきれぬ色気の権化だったんです…と言ってそんなに作品を観ているわけではないけど、少なくとも若いときはそうで、比較的近年の作品であるファンタスティック・ビーストでも健在だったはず。役・私生活問わずのお騒がせボーイなイメージ、だったのに…!!
まったく、気配もなくなってた。驚いた。
だらしないお腹周りも、情けない目元、口元、何もかもが、悲哀、、、すごい。ひょっとして知らずに観ていたらわからんかったかも…


「哀れなるものたち」で監督に興味がわいて観ました。あちらもコメディ要素はあったけどもう少しだけまじめでアートだったかも。
なみつ

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