ゆきまる

枯れ葉のゆきまるのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
ユーロスペースでの先行上映で鑑賞。

独特の間とぶつ切れの会話に、時々光るユーモア。
登場人物の心情をサポートするような、的確な音楽とインテリアや洋服などの絶妙な配色。現代の話なのにスマホやインターネットが出てこず、90年代の雰囲気も漂い、どこか不思議。ひとつひとつのシーンにセンスの粋が集められており、味わい深い。

これがカウリスマキか・・

氷のように冷たい表情をしていた男女が、お互い惹かれあって、その温もりで氷が解けていくように希望が描かれていたのがとても素敵だった。

上映後のインタビューで主演女優のアルマポウスティさんが、「枯れ葉というのは地面に落ちるまでに時間があり、それが旅のようで希望でもある」とおっしゃっていて、まさにこの映画の趣旨のようだと感じた。

また、作中何度も繰り返しラジオで流される、ロシアウクライナ戦争のニュースは、この作品を未来に残すためのタイムカプセルのようなものだという。また、これは武骨で不器用な男女の物語だが、人生は儚いということ。勇気をもって恋に落ちたり、自分が変わっていかないといけない、一回しかない人生をどう生きるか、ということを伝えたかったとのこと。

すごく心に染みる映画だった。
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