ゆきまる

ジョジョ・ラビットのゆきまるのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
素晴らしい。

この映画はまずオープニングが秀逸。
ビートルズのI wanna hold your hand の曲とともに狂信的にヒトラーに心酔する群衆が映し出される。それは、さながらビートルズのライブで熱狂する観客のようで、国民を否応なしに飲み込んでいった戦争の恐ろしさの正体であり、10歳の少年の思想を染め上げた背景であることを端的に表している。

戦争映画ながら、暴力や論理で相手をねじ伏せるのではなく、ユーモアと愛によって、軍国少年ジョジョの気持ちが揺さぶられ、価値観が変化し、成長していく様子が描かれているところが素敵。
10歳の少年の心に、イマジナリーフレンドのヒトラーと、反ナチ思想のキュートでセクシーな母を同居させたところが発想としてユニークで、独創的。少年は時に葛藤しながらも、ユダヤ人少女エルサと出会い、母の思想を継承して、ラストはボウイのHeroes をバックにダンスする。エルサに比べてまだ背の低いジョジョが、玄関先の階段の一段上に立って踊るのにキュンとする。

監督のタイカ・ワイティティがヒトラー役も務めているなんて知らなかった。
いろんな意味で、期待を裏切る良作。
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