いの

枯れ葉のいののレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.3
カラオケ行こ!
に、(おそらくは双方とも)付き合ったことで出逢ったふたり。お互いがお互いをそっと見つめる。控えめに。そっと、相手を見つめずにはいられない。何度も何度も。


やっぱり今作でも不遇が重なり、しんどい状況が波打ってかぶさってこようとするけれど、でも、カウリスマキわーるどの住民たちはそのようなことに屈する人たちではございませんの。「マッチ工場の少女」や「真夜中の虹」などでも感じたことだけれど、カウリスマキの映す無骨な工場は、ゼッタイに労働者を拒んでいないというのか、ちゃんと労働者と対になってそこにあるというのか。だからなんだか工場みるだけで泣けてきてしまう。アンサが解雇されたときの、同僚2名の潔さもステキなんです。組織としてじゃなく個としての連帯がそこにある。それはとても頼もしいことだし、そういうのがあるからこそ、自分も強くいられるんだと思う。


おとぼけも独特のユーモアも、反骨も健在。それどころか磨きがかかってうれしいうれしい。市井の人たちに寄り添い励ましながら、戦争に対しては徹底的に抗する姿勢。ウクライナ侵攻のニュースがラジオから度々流れるけれど、内容は現在のガザの話とも重なっていく。世界史学び直し中のわたしは、ソ連=フィンランド戦争(冬戦争)がWWⅡ勃発間もない時期に始まったことを知ったところで(かじっただけです、すみません)、侵攻に抗する気持ちは、今ココにいるわたしには想像もつかないほど、実感をともなったものなのだろうと想像した。


「愛しのタチアナ」で、登場人物たちが待ち合わせた映画館前には「続・夕陽のガンマン」のポスターが! 今作では、映画館で上映されていた映画のみならず、たくさんのポスターがあったから、それがなんの作品なのか、今後ゆっくり確認していくのも密かな楽しみとしたいです。


アル中ホラッパの周りには、かつて主役だった方々が同僚として優しく彼を見守っていて、なんかそういうのもいいなって思う。マッティ・ペロンパーもそこにいるように感じちゃうし、かつての作品で不運に見舞われてもめげずに生きてきた主人公たちが、ぼくたちもそうだったし大丈夫大丈夫って。んなこと台詞で言ったりはしないけど、無言でそう語りかけてくれているかのよう。あと、わたしも先月大事なものを複数落として散々な目にあったことを猛省し(その後無事解決)、今はしっっっかりファスナーを閉めています。ドヤ  だから電話番号メモ紛失後に、彼がファスナーしっっっかり閉めるの見て、心のなかで同士認定してしまいました♪


ちょっとちょっとちょっと、あのウィンクはいったいなんなん? 
あれは反則級だぁー。でもうらやましがっているだけではダメなんです。わたしも自分のものにするために、今日から秘密の特訓を重ねなければなりませぬ。それから、戸外から室内を撮っているショット(外は雨が降っていて、室内で待っているアンサを窓越しに映す)が、とても好きです。カウリスマキといったら、自分にとっては赤と緑だけれど、それもとてもステキだった。デュオ「マウステテュトット」が奏でる音楽にも涙。犬かわゆすぎ🐶
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