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リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシングのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.2
【Everything】

この作品は「トゥッテイ・フルッティ」や「のっぽのサリー」で有名なリトル・リチャードの半生を、当時の本人の映像や関係者たちのインタビューなどを交えて映し出したドキュメンタリー作品。

先にも書いたけど、やっぱり真っ先に浮かぶのって「トウッティ・フルッティ」の、あのパワフルな歌い出しですなんですよね~。
何なら、演奏が始まるよりも速いくらいのスタートダッシュで、一気にその場のボルテージを最高潮にまで持っていってしまう。

立ったままでピアノを弾き、左手でブギウギを、右手では打楽器的打鍵を披露。
激しいリズムを背景に、叫ぶように歌ったかと思えば、ピアノの上に立ち、衣服を脱ぎ捨ててステージを縦横無尽に駆けめぐる。
今でこそ珍しくもなくなったシャウトも彼から始まったとも言われています。
まさに彗星の如く現れた、唯一無二のロックンローラー。
それがリトル・リチャードでした。

レニングラード・カウボーイズも真っ青なバッチリ決まったリーゼント。
小筆でスッと一本線を引いたような細い口髭。
「ニッカ~」って擬音を当てたくなるくらいの笑顔と白い歯。
ビジュアルのインパクトも絶大で、一度見たら絶対に忘れられない。
むしろ、そのビジュアルの派手さから「色物シンガー」なのかな・・・って思ってたくらい(笑)

でも今作を観て、彼が生まれてから「あのスタイルになるまで」そして「あのスタイルになってから」の部分を知ったとき、何だかとても親近感のような不思議な感覚が芽生えてきた。
まるでそれは、この作品を観る前に彼に抱いていたものとは正反対の印象と言ってもいいかもしれない。

かなり早い段階からゲイを公言して表舞台に立ち続けたリチャード。
彼の、その弾けるような笑顔とは裏腹に隠されたいくつもの苦悩。
「クイア」として多くの後輩たちに影響を与え続けた孤高のカリスマ。

本当に観る前と観た後で彼への印象がガラッと変わった。
彼がいなければ、間違いなく今の世界の音楽シーンは違ったものになっていただろう。

続きは・・・ネタバレってわけでもないんだけど、ちょっといろいろと書きたいのでフィルターの向こうに「第二部」って感じで分けて残します
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