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ペナルティループのTenKasSのレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
5.0
表向きには口当たりのいいことを標語にして他人の憎しみを飯のタネにする、得体の知れない大きな存在に感情も行動も操られる寓話として楽しんだ。前作は『ソーシャルネットワーク』の終盤Facebook社内の登録者数目標突破シーンの未来としての「今」の寓話として楽しんだけど、今回は更にその先というような感じもした。
二進法の時計?、「死刑囚」「執行者」の二単語で表される単純化された世界の図式。二項対立によって引かれたボーダーラインは完全に正当化され、あり得たかもしれない人間的繋がりを不可能なものとする。世界で一番恐ろしいものの一つは契約。

全体的に水面の撮り方が良かった。若葉竜也はまた素性のわからない女性の恋人役。伊勢谷友介は広い意味で身体能力が高い。どっちかというと目が覚めたら車の上で、ハンドルも勝手に動く可哀想な伊勢谷友介側のモチーフの方が魅力的だった。
音や抑制された台詞の感覚が良くて、終盤の騒音が室内に広がっていくところは特に良かった。あそこで終わっててもよかったんじゃないかとも思った。
全体的にヨーロッパ映画、台湾ニューウェーブ的な空気感でジャンル映画をやっている肌触りが前作から継続していて嬉しかった。
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