ひば

瞳をとじてのひばのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.8
「なぁ、50年経ってもまだつらいか」と何も言わないエリセに声をかけるような気持ちだ。流れる川にたまっていく土砂をぼんやり見ている、なのに"それでもあなたに出会ってしまったから"と堰になる瞬間がある。わたしにはその違いがわかる、代え難い時間だった。
記憶というものは残す/消すの絶妙なバランスを保ってこそ進んでいける。わたしたちは積極的に忘れ新しいものを入れる忘却という洗練をしている。鮮明でも正確とは限らない。昨日あったことなんてほとんど覚えてない。みんなほんとうは嬉しいことも悲しいことも忘れたがってるのかも。ほんとうは嬉しいから悲しいから覚えてるわけでも忘れてるわけでもないのかも。なのにわたしたち、相手にはどんなことも覚えているよう求める。フェアじゃないよなと思うよ、わかっているとも。わたしを捉えて離さないでいてね映画パターンA『瞳をとじて』パターンB『別れる決心』

わたしによる"わたしとお父さん映画"
『エルスール』『ウォルトディズニーの約束』『アフターサン』『この世界に残されて』
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