イベリー子豚

ほつれるのイベリー子豚のレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.3
【メ~テレシネマ】
   ×
【ビターズ・エンド】
   ×
【COMME DES CINEMAS】
=スクエアサイズは標準装備。
ようこそ、ジャパンナイズ【A24】の世界へ。




さっすが。


「気まずい男女関係」
「冷静と情熱と倦怠感と後ろめたさの漂う修羅場」
要は
「ベクトルの揃ってない喧嘩(濃縮還元Ver.)」を
描かせたら、世界イチなんですよ。


【加藤拓也】監督の真骨頂ですね。
 
からまって、もつれて、
傷んで、ほどけて、ほつれていく。


調理工程次第では
『大豆田とわ子と三人の元夫』みたく
センス&コメディの「ユルエモい会話劇」に
することも出来たのに。

「ストロングスタイルの長回し」
「ナチュラルで無駄のないカット割り」で
ストーリーを極限までトリミング。



「説明台詞」なんてもちろん断捨離済みだし
「仕草」「纏った空気」
「どのように撮影するか」だけで
ここまで物語を深く、
奥の底の裏側まで展開するなんて。


贅肉が、セルライトがないのよ演出に。


決して
ハッピーや胸キュンは待ち受けていないのに
最後の最後まで予測不能な居心地の悪さで
グイグイ引き込まれてしまいます。


とんだ【夏油傑】ですよ、監督は。


いつかは
全くの別ジャンルにも
是非とも、挑戦してみて欲しいですね。



《それは、働きすぎだよ。日本人的すぎる。
俺はまだ旅行中だからね》
《……まだ旅行中なんだ。粘るね》