ヒノモト

哀れなるものたちのヒノモトのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
「女王陛下のお気に入り」「ロブスター」などのヨルゴス・ランティモス監督の最新作。
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作品。

東京国際映画祭にて初鑑賞しました。
前作「女王陛下のお気に入り」から作風変わったと思ったら、監督が脚本書いてないのかと思い、今作も同様のため期待度下げ気味でしたが、良い意味で裏切られました。

自ら命を絶ったベラが天才外科医により、自らの胎児の脳を移植され蘇生する。外の世界を知りたいという欲望から、弁護士ダンカンに誘われ大陸横断の旅に出る。新生児の頭脳、目線で世界を巡る中で、急速に成長していく変化の果てのお話。

一般公開前なので、ネタバレせずに短めに書くと、ベラが新たな価値観を獲得していく過程での白眉、新鮮な驚きと急速な成長曲線とともに、現代人のしがらみや固定観念を飛び越えて、自分なりの自由の形を形成していくのが、大変素晴らしかったです。

物語自体は、様々な性体験によって、価値観が覆っていくところも多く、エロチックコメディのような見やすさもありつつ、特異な環境がもたらした倫理観の先にある何かを見せていて、R18+で無修正で公開されることの潔さも含めて、映像としてもヴィジョンとしても充分伝わるものになっていると思いました。
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