ノラネコの呑んで観るシネマ

哀れなるものたちのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8
これは凄い。
ヨルゴス・ランティモスが「フランケンシュタイン」「フランケンシュタインの花嫁」を換骨奪胎して作った異色の寓話。
外科医の父から実験材料扱いされ、怪物の様な風貌になってしまったマッドサイエンティストのウイレム・デフォーが、エマ・ストーン演じる自殺したベラの死体を蘇らせる。
大人の体だが心は幼児のベラは、マーク・ラファロ演じる怪しげな男の誘いに乗って、世界を冒険することになる。
物語の話型は「ピノキオの冒険」の踏襲で、まっさらな心の子どもの成長譚。
ただベラの肉体は美しい大人の女性そのものなので、彼女は常に男たちの欲望に晒され、世界の現実を知ってゆくことで急速に大人の階段を上がってゆく。
旅に出るまではモノクロ、旅立ってからはカラーになるが、例によって撮影から衣装までテリングがゴリゴリにクセが強い。
最初は本当に赤ちゃんの様に、やがてちょっと頭のネジの緩い少女の様に、遂には洗練された大人の女性へと変貌してゆくエマ・ストーンが素晴らしい。
ある意味でこれは、奇妙で不気味なランティモス版の「バービー」とも言えるかもしれない。
ブログ記事:
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