ヨルゴス・ランティモス監督の最新作。
アカデミー賞を獲得した『女王陛下のお気に入り』は比較的穏やかな内容だったが、アカデミー賞に多くノミネーションした本作は『ロブスター』『聖なる鹿殺し』に通じる、驚きと困惑が連鎖するイかれた物語に仕上がっていた。
赤ん坊の脳を移植されて蘇生した女性が、言葉と快楽(!)を覚え、飛び出した外の世界から社会構造と教養を学び、自己を確立するという物語。トチ狂った世界観の中で積み上げられていくプロセスは全うというのは奇妙に感じる。こうした異常なバランス感覚こそランティモス監督の最大の魅力だと思う。
また、主演のエマ・ストーンはオスカー女優とは思えないくらい、鑑賞者が心配になるほど、(文字どおり)身体を張り過ぎた。この狂った物語が成立するのは間違いなく彼女の存在が大きいわけだが、それにしても無茶をしすぎてると思う。俳優としての器が桁違いだと思う。
まだ2月だか、今年最大の問題作&怪作。
今後の反響も含めて楽しみだ。