泣きっ面にwindows8

哀れなるものたちの泣きっ面にwindows8のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.9
⚫︎動物性を武器に、世界とぶつかり続ける女性の成長(?)物語。表層化した欲望を、知性で捉え続けることで世界の理に触れていく。それ故に、ラストシーンがあれで良かったのかは腑に落ちない。権力構造が入れ替わっただけ。結局ベラも、人間の極悪性からは逃れられないのか。ベラですらオルタナティブな道のりを提示することができなかった。俺が一貫性や分かりやすさを求めすぎているのか。
⚫︎露悪を優先するならば、ベラが博士を許すことになった理由が分からない。搾取している立場という意味では元夫となんら変わりない。
⚫︎奇妙なズームの連発と、段取りを抜いた編集による笑いが絶えなかった。俯瞰的に人間を捉え続けたヨルゴス・ランティモスの新たな一面が観られた。ハスるのを辞めたのかも知れない。
⚫︎音楽もすごい。荘厳でありながら、不協和音的でなぜか美しい。奇妙で寓話的でありながら、どこか美しさを感じる監督の作家性そのものだった。
⚫︎美術と衣装がオシャレすぎて、それだけで目を奪われるには十分だった。
⚫︎額縁みたいなエンドロールも素晴らしい。観たことない。