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哀れなるものたちのhikarouchのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.2
なんだろな、分かったけど、分からないというか。少なくとも、「この映画はこうだ」と言い切れるほどには消化できていないけど、もう見てから1週間以上経つので、消化されることもなかろうということで、消化不良感想文。

アート映画ですよね。エンタメ部分もしっかり入ってるけど、ベースはアーティストによるアートだと思った。アーティストが科学者の映画を撮るってのも面白いなと思ったけど、良く考えたら科学者も突き詰めていくとアーティストだよね。本作のウィレム・デフォーのように。
しかし、ウィレム・デフォーは素晴らしかったね。

女性を自分の都合の良いモノとしか見れない男たちが、どいつもこいつもあまりに醜い。またヌードとセックスシーンが尋常じゃなく多くて激しいのに、エロく見えないのもあり(意図的に男がネタとして消費できないようにしてるハズ)、男性の自分はずっと居心地の悪さを感じる鑑賞体験だった。タイトルの「哀れなるものたち」のひとつはこの男たちのことだよね。決して、自分の好みの作品ではなかった。けど、非常に興味深くはあった。

やっぱアートだなと思ったのは、エンドクレジット。あの細長いフォントで縁取ったクレジットめちゃくちゃオシャレでかっこよかった。翻って、日本語のタイトルも同様のフォントにした担当の人も、グッジョブですね。

美術やセット、衣装もマジですごかった。衣装デザインと美術はオスカー取るんじゃないですかねこれは。

エマストーンめちゃくちゃ体張ってるし、ある種の歴史に残る映画であることは間違いないとは思うものの、この映画でそこまで頑張っちゃう?てのは思ったかも。これを撮ってる監督が男だってのも引っかかるんだよねえ。

でもやっぱり、このゴテゴテの世界観も、マッドサイエンス的な設定も、剥き出しの裸体も、魚眼を多用した奇抜なアングルも、自分には合わなかった。「妊婦の死体に胎児の脳みそを移植」って発想がもう、「ゔぇぇぇ~~~」って感じなのよね正直。ラストのヤギちゃんは言わずもがな。

合わなかったのにまずまず楽しめたんだから、やっぱりすごい映画なんだとは思うけども。
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