きゃとうぉ

哀れなるものたちのきゃとうぉのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.3
とんでもねえもんを見てしまった…

ことごとく展開が予想できない。普通じゃない。秩序がない。でも先が気になってしまう。

まず音響が面白い。音に感情を誘導される。不思議な体験だった。でもそのシーンごとに映される映像と音はピッタリと辻褄が合っていることに、後から理解が追いつく。

次に美術。架空の世界なんだろうけど、CGも含めて全体の美術の統一感すごかった。違和感ばかりなのに、違和感がなかった。

白黒とカラーの使い分けも気になった。ベラの進歩を現してるんだろうか。もしかしたらそこまで意図がある分けじゃないかもしれないけど。カラーになる瞬間は、鑑賞していてベラと同じような喜びがあった。

ズームインのショットが多かったけど、これはレトロ感にも繋がるらしい。確かに最近の映画の様なダイナミックな撮り方とは違って、レンズの歪みとかカメラの動きとかアナログな雰囲気があったかも。

ベラの演技もすごく良かった。本当に変化を演技できていた。"熱烈ジャンプ"のシーンも、あんだけたくさん映ってるのに全部ニュアンス、ベクトルが違っているように感じた。面白い。

また、ところどころにお茶目な小ネタを挟んでくるのも好きだった。キャラクターたちの性格を肉付けする、細かい動きが映される。

人には勧めづらいけど、アートとデザインを程よく中和させた良い作品だと思う。以前も似たようなベクトルの作品を見たことがあったが、こっちの方が好き。

でも映画館で見てなかったら途中で見るのやめちゃってたかも。意外と2時間強が長く感じることはなく、さらっと観られたけど、映画館でよかった。

フランス語できたらもう少しだけ楽しめそう。

最後の状況が一番グロい。社会。