たた

哀れなるものたちのたたのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.6
精神年齢が赤ん坊の成人女性が世界を知るために旅にでる話。

予告編や事前情報の感じからしてハチャメチャなエログロナンセンスなものを想像してたら(そういう面もあるけど)、意外とハードで哲学的なストーリーでした。
実写映画だから具現化出来る、脳移植が可能なら人はどう生きるか、どう成長するか、何を思うか、という思考実験の物語化でもあります。
実際ベラの精神が幼児から淡々と成熟していく様が興味深かったです。
厚化粧のベラは妖怪人間みたいだったけども。

白黒とカラーの切り替えとか、何度か出てくる除き穴的なカメラ視点に、意味がありそうだけど、説明できるほどの理解に及びませんでした。

生まれた時から大人の体を持ってる女性の成長譚なので、性的な部分をばーんと出すことにも大きな意味があるんですが、あえてソフトにぼかして子供向けのディズニーアニメみたいな作り方しても面白くなりそうだなと思いました。普通の童話なんかも実際にはハードでブラックな内容らしいし。

手塚治虫(ブラック・ジャック)とか弓月光(ボクの初体験)をずーっと連想しながら観てました。
ウィレム・デフォーの顔は元もいいけど特殊メイクでも渋さと存在感が変わらなくてよいなあ。

タイトル(poor things)は何に対してのものだろう。ベラ?彼女の上を通り過ぎていった変態男達?実験動物達?登場人物みんな?世界そのもの?
たた

たた