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哀れなるものたちのyosのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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毎回変なヨルゴスランティモス監督の作品の中では一番わかりやすく、普遍的でポジティブなメッセージ性も含んでいて普通に楽しめた笑

設定的には手塚治虫作品を感じたり、レトロなSF感ある舞台美術と生々しい話がおとぎ話のように融合している感じは、ギレルモデルトロのシェイプオブウォーターなんかを思い出した。

これまでの作品は現実世界の中での歪んだファンタジーが多かったけど、今作は舞台設定からファンタジーだったので意外だった。ただ実際の都市も出てくるし、どこかニセモノで箱庭のようなファンタジーの世界観は、子供の脳を持つベラから見た世の中の見え方でもあるのかなと思った。
皮肉を含んだ男女、大人子供、人と動物、支配格差といったテーマは特徴的で、奇妙さとリアルさ、気持ち悪さと笑いが混ざったヤバさはクセになる。
前作でもよく見られた広角レンズだったり、変なカメラワークは、歪んだ世界の表現のひとつなんだなと感じた。
ダンカンの人間味溢れるキャラクターは、人造人間ベラとの対比としても活きていて好きだった。

いきなり口から泡を吐くインパクト。ダンスのシーン好き。
章扉やクレジットを額に見立てた絵画のようなエンドロールがめちゃめちゃおしゃれ。
「哀れなるものたち」というタイトル良い。


生は魅惑的だからあなたの行為を許す。
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