ひろぽん

#ミトヤマネのひろぽんのネタバレレビュー・内容・結末

#ミトヤマネ(2023年製作の映画)
1.4

このレビューはネタバレを含みます

Filmarks オンライン試写会にて。

カリスマインフルエンサーの女性が、所属事務所に持ちかけられたとあるアプリとのコラボをきっかけに、SNSで大炎上する。現代のネット社会に焦点を当てSNSの闇を描いた物語。


SNSを題材にしたテーマとしては、デジタルなのにアナログな描写が際立つ本作。

現代の社会問題となっているSNSや、現代では珍しくなくなってしまった最新技術のディープフェイクを扱い、情報リテラシーのない若者に警鐘を鳴らす作品としてはいいのかもしれない。

「ミトヤマネ」という圧倒的な人気を誇るカリスマインフルエンサーが、ディープフェイクの技術を悪用され、自身の顔が悪い形で世の中に広まり大炎上するというお話。

世界的な人気インフルエンサーという割に、彼女の制作するファッションやグルメ等の動画に全くの魅力がないし、一昔前の内容で特別凄いコメントをしているわけでもないから不思議。

大炎上していても良くも悪くも自分の名前が広まっていることに喜びを感じるミトヤマネ。

謝罪はするけど何の責任も取らない事務所の人の杜撰な対応も酷い。

人気インフルエンサーの姉のミトと、彼女のマネージャーや動画編集などの業務をこなす妹のミホ。物語の終盤にかけて2人の関係性すらミスリードだったかのように変わっていく演出が凄い。


ミトとミホは2人ともが動画配信者、ミホがSNSの世界に入り込みすぎた事でミトが自分の頭の中で作り出した虚構の姿でミホが本来の自分の姿、自分自身が誰なのかすら分からなくなっている、実は姉のミトよりも妹のミホの方が人気、二重人格?etc.....
色々な考察ができる。

田舎のおばさんがミトを認識していなかったり、ミホを一人っ子だと思っていたと言う発言からミトが本当に存在するのか、姉妹なのかという事が分からなくなってくる。街中では人気であるはずのミトよりもミホが間違われてファンに追いかけられたり、警察に対して謎にミホがブチギレるシーンも然り。その後にアンチによる襲撃でもミトが認識されずミホが襲撃され、襲撃された動画をミホ自身が出演し公開している。

終盤になり畳み掛けるように情報が混濁するから余計分からなくなってくる。

「みんなに知られているのと
知られていないの、どっちがいい?」
というジャケ写に書いてある言葉をミト自身が台詞として言っていたのが真理なのか。

ラストのミトの犯行声明から想像すると、承認欲求の強い姉が世間に認められたくて人気の妹を殺す事で満足するというオチなのかな。

襲撃事件の過激なアンチの頭に白タオルにメガホンをぶら下げた昭和スタイルなのが時代錯誤な描写に違和感を感じた。寄って集って1人の女性に石を投げ集団リンチするようなスタイルも古い。

2人の服装や髪型を似せている点も気になる。

良くも悪くも観た後に感想を誰か話したくなる作品。伏線のようで回収されずに終わったり、デジタルのようでアナログだったり、オチがあるかと思えばそうでなかったりと、話がとっちらかってる乱雑な作りで、全てを視聴者に委ねる構成。人によって感想が変わりそうだし、全てが明かされないまま終わるから難解なストーリー。

本当に存在するのか分からないような玉城ティナの容姿を生かしたキャスティングは適役だと思った。玉城ティナの可愛さが唯一の救いだった。

SNSの弊害、インフルエンサーの現状と苦悩、過激化する一般人など現代のトレンドとなるような題材は良かった。

何が嘘で何が本当なのか、リアルなのかフェイクなのか分からない独特の世界観が現代の掴みどころのないSNS社会を表現しているように思えた。
ひろぽん

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