竜平

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊の竜平のレビュー・感想・評価

4.1
ケネス・ブラナー監督・主演。名探偵「エルキュール・ポアロ」が難事件に挑むシリーズ、その第3弾。イタリアはベネチアにて暮らすポアロのもとにとある曰く付きの屋敷で行われる降霊会の話が舞い込む、というところから始まる事件を描く。

共演には『デート&ナイト』のティナ・フェイ、ブラナー監督作品の『ベルファスト』にも出てたジェイミー・ドーナンと子役ジュード・ヒル、そしてミシェル・ヨーなどなど。今回ポアロが挑むことになるのはなんと「亡霊」、毎度テーマを変えてくる感じ非常に良き。登場人物にはそもそも信じてない者、信じざるを得ない者、信じたい者といるわけだけど、シリーズをこれまで見てきて察するとおりオカルトの類なんてやっぱり信じないポアロ。第3弾にして実現するこの新たな対決、「ポアロ vs 亡霊」の様相は完全に見どころ。まずはバッチリ人を疑うし、持ち前の洞察力と知識で名推理をかましていくわけだけど、自身も恐怖感やらにちょい揺らいでしまいそうになったりして、これまでと違う意味での“手強い”案件にワクワク。登場人物にはこれまたそれぞれ過去の経歴やトラウマがあって、現時点での精神状態も絡みつつ、そこから更に嘘や隠し事が何重にも重なっていくもんでやっぱり先が読めず楽しい。様々な伏線と何気ないシーン、点と点が結ばれていく様は今作でも見事。

『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』と順に見てきて、今作はこれまでの中で一番入り組んでた気がする。けどやっぱり緻密で、考えれば考えるほどによくできてるなと。最終的にじつは超常現象や心霊の有無に関してはっきりと明言してないあたりめちゃくちゃ上手い、この感じマジで絶妙。で今回もまたポアロ自身これまでに経験し得なかったことに触れ、しっかり成長してるのがおもしろい。この人どんだけ伸び代があるんだ。てなわけでこのシリーズまだまだ続いてほしいなーなんて思った次第。良作。
竜平

竜平