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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男のいののレビュー・感想・評価

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クエンティン・タランティーノの才能や魅力や作品の素晴らしさについて、作品ごと時系列に沿って紹介されるドキュメンタリー。これがドキュメンタリー映画として優れているかどうかはわたしにはわからない。けれど、キャストやスタッフ等々、皆さんがあふれる愛をもって語るので拝聴しているだけでこちらの気持ちもあがってくる。みなさん映画関係者なんだから、インタビュー受けた人たちが悪く言うワケない、ということを差し引いたとしても、あまりあるほど受け取らせてもらったと思う。


タランティーノの映画への愛と、今まで培ってきた知識と、誰よりも現場を楽しんじゃう精神とで、現場のみんなが否応なしに感染しノリノリになってきて天井知らずの相乗効果がうまれるということ。わたしは観ているだけなのに、自分まで恩恵にあずかってる気持ちになってくる。ここのところ幾つか再鑑賞してきたから、おいしさが何倍にもなった。わたしはまだ数年のおつきあいにすぎないけれど、長くタランティーノ作品を愛してきた方々にとっては、「おれたちのタランティーノ」にますます誇りを抱くことでしょう。ただ、ワインスタインのこととか、キルビル撮影時のユアサーマンの事故のこととか、少し映画のなかで取り上げられたけど、そのことが影を落とし、どうしても両手を挙げてヒャッハーすることができなくて、苦い後味も尾を引いてしまうところがある


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・クリストフ・ヴァルツの、あふれる知性を抑えてもやっぱり知性がもれ出てしまう話しぶりは必見

好きなエピソード
・マイケル・マドセン「おれはブロンドやりたくなかった。ティム・ロスなんかに撃たれたくない。ハーヴェイ・カイテルに撃たれるならいいけど、ティム・ロスはイヤだ笑」(意訳)

・レザボアのスーツは全員自前。ネクタイだけ支給。マイケル・マドセンのスーツは上下揃ってない。ブシェミはGパン(←わたしは全く気づいてなかった!)

・いつものスタントの習慣で顔を隠したりしたから、デス・プルーフではボンネットにいるゾーイ・ベルの顔がもっと見えるようにと取り直したこと(つまりゾーイ・ベルに対して最大のリスペクトということだと思う)
いの

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