きょんちゃみ

ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版のきょんちゃみのレビュー・感想・評価

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【人が求める五大対象について】

①カネ(権力):人為的秩序(=経済機構)における可能的操作
→人為的秩序(=経済機構)においてはそこで起きる事象に対して可能的操作ができるはずだという意味づけを求めている

②パートナー:具体的他者による承認
→たとえどうなっても顔の見える味方がいてくれるから大丈夫なはずだという意味づけを求めている

③権威:抽象的他者による承認
→人為的秩序(=社会)においてたとえどうなっても顔の見えない大勢の味方がいてくれるから大丈夫なはずだという意味づけを求めている

④知識:全秩序における可能的操作
→自然の秩序をも含めた全秩序においてそこで起きる事象に対して可能的操作ができるはずだという意味づけを求めている。たとえば、自分の心臓が動いている仕組み、アリが動いている仕組み、地震が起きる仕組み、天候が変わる仕組み、ウイルス発生の仕組み、最初にDNAが発生した仕組み、どれも完全には分からないが、その仕組みの一部だけでも、やろうと思えば人間に操作ができるようにしたい。

⑤動物的快:現実的価値
→想像力を経由せずに得られる価値を求めている。たとえば、独りでの飲食や、睡眠の快、寝ぐらの確保や繁殖行動による快など。

註1:意味とは想像力が働くことで得られる価値のことである。①②③④については、「意味」を求めていると言える。

註2:①②③④⑤は日常人の中でふつうは渾然と混ざり合って一体になっている。だから「①を求めているつもりが②を求めていただけだったと気付く」とか「②を求めていたつもりが①を求めているだけだったと気付く」とかいうことが、しょっちゅう生じる。

註3:この映画は①②③④のどれをも得ることに失敗して、最後の頼みの綱であった⑤すら得られなくなっていく人間の在り方に迫っていると思う。
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