戦い

ザ・クリエイター/創造者の戦いのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

黒人がやる白人の救世主モノなんだけどSF的なデティールが光る。ゴジラじゃなくて「ローグ・ワンのギャレス」なんだ~と思ってたけど、ロケーションのサービス精神や空に浮いてるヤツ、最近のスターウォーズっぽいメカニックとエスニックの質感がそうだった。最後のAI寺院とか好き。爆発オチだったしな。異言語間のスムーズさがSWで、劇中の日本語が変なのはAI翻訳の齟齬の積み重ねなんだと解釈。70年代でも日本語の存在感が大きいの劇中でも現実でもソフトパワーのおかげだなと。
AI反逆モノの逆転や南北戦争・対テロ戦争・米中冷戦をやってる国の想像力、東洋でのロボットの受容に妙にリアリティがある。それってあなたのオリエンタリズムですよねはあるけど。前半は思いっきりベトナム戦争で、思い出したのはベトナム人の顔が見える報道が反戦運動の原動力になったという話。それを踏まえれば現在行われているのは顔が見えた上でやる戦争で、映画でも顔の見える登場人物たちが嫌な死に方をしまくっている。その割にモブはロボ顔だったり、死ぬときの湿度がスターウォーズのバトルドロイドっぽい。動物が2回も爆発させることあるんだ。ロボットの顔システムで距離感がなさすぎる感じもある。渡辺謙が飲んでる酒っぽいやつは酒なん? やたらしわくちゃのロボットばっかりなんだけど、子守だから?
神秘的かつどこか親しみやすさもある外観のノマドの内部で植物を育てていたり、捕虜をコンピュータとして使っていたり、対アジア殺戮兵器なのにアジア由来の名前を付けたりという冒涜とを始めとして「アメリカ」の趣味の悪さ。散々ロボットは家族という描写をやった上で出てくる自爆ロボの倫理観の相容れなさ。またこれが物量と執拗さによる殲滅戦というのは、偶然にもイスラエルのことを思いだした。単に「アメリカ人」って呼ばれてる距離感。対するネオアジアの粘着爆弾もクチトンネルで見覚えのある狡猾さ。両陣営の顔の見える死体が積み重ねっていくのを居心地悪く見る中で、私情だけで動いていくハリウッドっぽい主人公。闇の中で見開かれた目が映える。
音楽がうるさいけど味ですかね。子供満載のバンが急発進するところとかは効いてた。
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