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劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100の消費者のレビュー・感想・評価

4.2
・ジャンル
心霊ホラー/オカルト/モキュメンタリー

・あらすじ
長野県に住む大学生、鷲巣という投稿者から制作チームに届いた1本の映像
何者かから突如、Airdropで届いたというそれに収められた内容は極めて異様な物だった
主婦達のバスケの試合のビデオに重ね録りによって途中からノイズと共に流れ出す「赤い映像」
神棚、お面、だるま、魚の眼、御幣という共通点の見えない物達がそこには映し出されていた
「ほん呪」シリーズの初期に構成を担当していた中村はナレーション録りの最中、ある事に気付く
24年前にあたる1999年、同じ映像が別の人物から投稿されていたのだ
当時は諸般の理由から作品に収められなかったビデオ
そして今回投稿された物
この2つはほぼ同じでありながら異なる点がいくつか見られた
当時のビデオは今回の物ほど赤くはなくもっと長い物だったのだ
やがて今回の投稿者、鷲巣と過去の投稿者、杉田の間にも奇妙な共通点が浮かび上がっていく中、鷲巣のみならず映像を観たスタッフ達にもまた怪異が相次ぎ始める
果たして2つのビデオが意味する物は何なのか?
情報を追うにつれて不穏な過去の出来事が次々に浮かび上がっていき…

・感想
「ほん呪」シリーズ100作目の記念作品として製作された劇場版作品
初期作で監督を務めていた中村義洋が今作ではメインの取材者として復帰している
ビデオシリーズ自体はまだ5本目までしか観られていないが昨年の話題作で気になっていたので鑑賞

「ほん呪」らしい真相を追う中でジワジワと薄気味悪さを高めていく手法は健在で同様にモキュメンタリーホラーである「ノロイ」とはまた異なり露骨過ぎる心霊描写を避けながらも恐怖が染み渡っていく作風が素晴らしい
民俗学や歴史、現代人に身近な災厄である感染症という軸となる現象、オカルト的な儀式などJホラーの王道とリアルを上手く絡めた世界観はとても効果的だった
そこにヒトコワ要素まで加わり、“赤”というシンボルカラーを随所にみなまで言わず取り入れていく演出もさすがの一言

また何と言っても印象的だったのは肝であるビデオ
終盤までは危険性を理由に基本静止画や一部のみが見せられ、最後にお祓いを済ませた事で通常再生版が流される訳だけどこれの出来が凄まじい
個人的には「リング」の呪いのビデオ以来の巧みに作り込まれた映像だった様に思う
更にラストにもはっきりとは明示せずにある事実が示唆されていてそこでもまた“赤”を上手く活用していたのも秀逸

あと中村さんが“和子”の暮らしていた家でビデオを捜索する中で度々「心霊スポットの映像や心霊YouTuberみたくすべきじゃない」と言っていたのも深読み出来て細かいけど巧いな、と

普通に観ていても面白い作品だったけど恐らく端々にぱっと見ただけでは分からない物が仕込まれてるんじゃないか?とも思うし大元のシリーズを観進めたタイミングでまた観直してみたい作品

ちなみにこれは本作のレビューとは関係ないけど明日からPOV/ファウンドフッテージ/モキュメンタリーの作品縛りで1ヶ月間くらいその手の物を鑑賞し続けて投稿していく予定です!(合間に違う物を挟む可能性もなくはないけど)
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