さよこ

プリシラのさよこのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
4.0
【Fan’s Voice独占最速試写会で鑑賞🎬】
※ネタバレありの部分は公開後に追記しました。

🐩全体の感想
プリシラと出会った当初のエルヴィスはとても一途で優しくて紳士な人だった。エルヴィスが人気絶頂になるにつれて二人のすれ違いは続いていたけど、プリシラはエルヴィスの乱暴な振る舞いに怖い想いをしながらも彼の一途で優しい部分を信じたかったんだと思う。寂しくもあり、素敵でもある二人の物語。とても良かった。

🐩ソフィア・コッポラ監督
やっぱりダントツに女の子を描くのが上手い。どうやったら女の子が可愛く映るか知り尽くしている感じがする。ヘアメイク、ファッション、ライティング、カメラの角度…天才すぎる。オープニングはふかふかの絨毯を歩くシーンから始まるんだけど、それだけでもうプリンセスな感じがして最高だった。絶対パンフ買う。

🐩エルヴィス
この作品は完全にプリシラ視点なので、ステージでキャーキャー言われているエルヴィスはほとんど登場しない。なんでもエルヴィス側から楽曲利用の許可が降りなかったんだとか。その分、この時代を表す曲がたくさん使われていたので良かった。

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⚠️この先、ネタバレあります⚠️
(※公開後に追記しました)
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🐩印象に残った台詞
『俺が電話したときに家にいて欲しいんだ』

🐩エルヴィスとの出会い
20代半ばのエルヴィスがまだあどけなさの残る9年生(14才)の少女に惚れたことに若干引っかかりを覚えたけど、当時のエルヴィスは人気が少し陰りが見え始めた時期で、且つ異国の地で徴兵に行かされ、且つ母親を亡くして落ち込んでいた時期というのを考えると、自分勝手弱ってるときにイノセントな存在に癒やされたくなる気持ちは少しだけ分かる気がする。エルヴィスのいう「君の嫌がることはしないよ、話したいだけなんだ」は、きっと本心だし、一時的な気の迷いなんかじゃなくて、遠距離も乗り越えて、親にも話を通して、卒業するまで待って、エルヴィスって実は一途で真面目で良い人?と思った。その後、エルヴィスの負の一面は出てくるけど、ちゃんとエルヴィスなりに愛してたんだなって思った。たしかにプリシラはエルヴィスと出会ったときも落ち着いてたし、キャーキャー騒がないリアクションはとても新鮮で信頼できるものだったと思う。

🐩エルヴィスの矛盾
プリシラを"14才の少女"という属性でみると、エルヴィスの「アイラインは濃く」「髪はアップに」という大人っぽいオーダーとはチグハグするので多分ロリとは違うんだと思う。たまたま好きになった人が少女だっただけ。色んな人とのゴシップは映画のプロモーションのためのでっち上げと信じたいけど、この映画のなかではエルヴィスが浮気性だったかは分からなくて、なんとなく一途な人という印象に落ち着く。

🐩エルヴィスの束縛
いつでも家にいて欲しい、友だちは呼ぶな、アルバイトは禁止…エルヴィスの束縛とパパラッチ対策がうまい具合にカチっとハマってしまって、エルヴィスの束縛をより強固なものにしているように思えた。

🐩エルヴィスの呪縛
プリシラは出産直前であっても、つけまつげをしてアイラインを引き、そしてお洒落な洋服に着替えてヒールのあるブーツで病院へと向かう。このシーンは、プリシラが自発的にしているように見えて、その内面は美意識に口出すエルヴィスの呪縛のように思えた。エルヴィスの妻たるもの、いついかなるときも美しくなければならない。エルヴィスの理想の女性でなくてはならないというプレッシャーに思える。

🐩プリシラの笑顔
母親になってからようやく自分の時間を持てるようになって、友人と笑いあえる時間が出来たのは皮肉だなって思った。エルヴィスと出会ったのが14才、離婚したのは28才。その間、プリシラはもしかしてエルヴィスのライブにもツアーにも同行せず、ずっと家でお留守番していたのかな。スターとしての彼に触れることなく生活していたんだとしたらなおさら凄い囲われ方だなって思った。

🐩その他、いろいろ
・ふかふかの絨毯は富の象徴
・小柄なキミに柄物は似合わない。
・衣装に合わせた銃のカラーリング。お洒落。
・出ていけ!て怒鳴り散らしたあとのフォロー怖い
・感想言ったら椅子ぶん投げられるの何…?😿
・プロポーズするタイミングが謎すぎた
・産まれる直前で別居切り出すの最悪すぎる
・ミッション系の制服に派手な髪型
・夜遊びしてから学校行くのハードすぎる
・盛りガールが爆誕した…😭
・プリシラがエルヴィスとの出会いや付き合いを周りに言いふらさない良識があったことがすごい。10代なのにちゃんとしてる。
・エンドロールで実物流して欲しかったなぁ…

【こぼれ話】
試写会のアフタートークでお聞きしたエピソードの紹介。
・プリシラが28才ときに離婚し、その8年後にエルヴィスは亡くなる。
・プリシラと離婚したあとも二人の交流は続き、良き友人関係だったらしい。
・ラストシーンで流れる曲は1974年にリリースされた曲で、プリシラが家を出た1973年にはまだ発表されていない曲。ソフィア・コッポラは世界観優先なので時系列が正確ではないことは多々ある。

【余談】
エルヴィスプレスリーって戦争経験者なんだっけ?と混乱しながら観てたんだけど、どうやら当時は徴兵制度があって、普通の一兵士として西ドイツにあるアメリカ陸軍基地で勤務していたんだそう。その間に音楽活動はできないため、冒頭の会話でプリシラに「忘れられちゃったかと思った」と言ったことに繋がってた。
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