MariaElena

プリシラのMariaElenaのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.8
なんという鬱恋愛映画😂
これ、製作総指揮がプリシラさん本人なんやけど、この内容でほんまに大丈夫なん?😂先に逝ってしまったエルヴィスさんは死人に口なし状態やけど大丈夫そ?←

でも、このメンヘラ→モラハラ→暴力の順番で依存してくる男っぷりは日本でもよく見るから、実在したんやろなぁ。
無理やりこの映画の話を作った感がなくて、所謂“出会ったときからそういうことを口にする男は結婚したらそうなるやろな”っていう当たり前の道を映画にした感じで。日本だけで言ってもこんな男性は死ぬほどいて、そんな彼と別れたいのに別れられないって悩んでる女性も死ぬほどいる。ただ、男性側がエルヴィス・プレスリーやっただけで映画になるんやな😂(皮肉)

正直、エルヴィスのクソっぷりは元カレに、プリシラの情けなさは過去の私に重なるから、見ていてとても勉強になった。
私は初めて長く付き合った彼氏がこんな感じで、私はまだ若くて何もかもが初めてやったから、色んな苦痛を「これが普通」やと思い込んで彼の言いなりになっていた。
でも、このまま結婚したり妊娠してしまったりすると、私は彼の奴隷になる。きっと家から出してもらうことも出来なくなるだろう。と思い、周囲の協力も得て何とか別れることが出来た。別れた後は「自殺する」と言いながら付き纏われたが、私も周囲も怪我なくその関係は過去にすることが出来た。

プリシラは、別れを告げるタイミングが何度もあったにも関わらず、エルヴィスとの出会いが早すぎたからか(プリシラ15歳)、自分の趣味も友達もなく、エルヴィスと2人でいるか、死んだ顔をして一日をやり過ごすかの2択しかなかった。
プロポーズされたときに今一度、自分の気持ちを聞いてあげてほしかったけど、「やっと彼の一番になれる」という気持ちが大きかったんやろうなぁ。指輪貰った瞬間に喜んじゃってるから、ああもうこれは妊娠まで一直線でいくなと思った。

俺と会えないときはこれで遊んでと言わんばかりに送られた生身の小型犬や、大不幸の中生まれた女の子がどんな人生を送ったのかを一切省いたところが敢えてよかった(考えたくもない)。
いやらしい描写や濡れ場はゼロで、セリフに下ネタすらないところもソフィア・コッポラらしくてよかった。
私は今までソフィア・コッポラの作品を、「友達にしたくない女ばかり描く」「性格が女々しい」と批判してきたんやけど、何故批判したくなったのか分かった。“自分の中にいる嫌いな自分”をちらほら描かれるから。胸を張れない嫌な女の部分っていうのを映画にされるから。
【自立していて、自分の機嫌はいつでも自分で取れて、きちんとメイクしていなくても雰囲気があって、女友達といるときも彼氏といるときも変わらない自分でいられて、思っていることはきちんと発言できる女】なんてソフィア・コッポラの映画に絶対出てこないもんね!?←
そういう女性が憧れやのに、なんでこんなに彼氏に依存しちゃってるの?なんで私ばっかり追いかけてるの?私かっこいい女になりたいのになんでなの?なんでこんなに寂しいの?みたいな本音を映画にするから、こんな主人公嫌だ!って思ってたんやと思う。

シアター内は70代ぐらいの女性で溢れていて、何故?日曜日だから?関係ないか。と思っていたけど、もしかしてエルヴィス世代なのかな?
彼女たちはどんな感想を持ったのか非常に気になる。女はこの立ち位置で当たり前、と思う方もいるのかな?それともプリシラの葛藤に共感するのかな?
MariaElena

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