いの

ダム・マネー ウォール街を狙え!のいののレビュー・感想・評価

3.8
ウォール街はダム・マネーを無視できるのか?


わたしは2020年を“コロナ初年”と勝手に名付けているのですが、今作は“コロナ初年&その翌年”のお話。実話に基づく映画とのこと。構想10年とか20年とか、監督が長くあたためて熟慮&熟成のうえに創られる映画もあるけれど、今作はコロナ禍での出来事をとにかく早く世に出したかったのかな。この作品にはスピード感が第一だと。


クレイグ・ギレスピー監督は、『ラースと、その彼女』の監督でもあり、 『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』の監督でもあるから、観に行かないわけにはいかなかったのです。不得手な世界史だと観に行っちゃう自分は、不得手な金融関係の話でも、やっぱり観に行ってしまうわけです。


赤いハチマキ&🐱ネコちゃんTシャツのダノっち。ふざけた映画かと思ったらそんなことは全然なかった。遊び感覚でゲームストップ株に全財産つぎ込んだの動画にしてるんかと思うてたら、それも全くの思い込みで、ダノっちが演じた人物は、証券会社に勤めていて(たぶん、そう言ってた気がする)、しかもとてもよく学び様々な角度から分析したうえで、この株が空売りされているのはよくないことだし、この株には相応の価値があるのだということを、動画配信しているのであったわけです。


権力握っている人たちや、空売りで巨万の富を手にしている輩たちに、中指を突き立てるような映画はどうしたって応援したくなります。ダノっちの配信を通じて、小口で株を買う人たちの様子をみていると、利益を得たいことはもちろん大前提としてあるんだけれど、ダノっちを信じたい気持ち(それは依存にもなりかねないけど)もあるし、ウハウハのヘッジファンドには抗したい気持ちもあって、そういう富豪どもにチャンスがあるのなら勝ってみたいじゃん。ここにも、個の繋がり(実際目に見えるわけじゃないけど)があるんだなぁと。


コロナ初年の雰囲気もよく出ていて、マスク足りなくて手作りマスクしたなぁとか、「マスクつけて」という会話もあちこちでなされていたなぁとか。そんなときだったからこそ、ゲームストップ(実店舗でゲームソフト販売をしている小売り企業)を潰したくなくて応援したんじゃないかとも思う。(でも、ゲームストップというお店が、店舗として、応援されるに値する企業だったのかは映画からは判断できませんでした)(お店には、switch関連製品も多数ありました)


『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でのマシュー・マコノヒーや、『マネー・ショート』でのクリスチャン・ベイルがチラっと映ったりして、監督の思いを汲み取りたいような気持ちにもなりました。金融のこともわからんのに、そういった映画も観てきて偉かったね自分と、やっぱりいつものように自画自賛も入っちゃったけど💦ま、いっか



 -----

・字幕では、ダム・マネー(=愚かな投資)となっていた(と思う)

・ポール・ダノの父親役はクランシー・ブラウン

・ロビンフッド共同創業者を演じたのは、セバスチャン・スタン&デイン・デハーン
いの

いの