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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のslowのレビュー・感想・評価

2.8
「なんだこれ…」と,とらえるか
話のぶっ飛び具合にハマるか
全てはあなたの心の大きさ次第。
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カルト的人気シリーズ『コワすぎ!』待望の新作であり“最終作”。

【あらすじ】
コロナ禍で落ち目になった番組プロデューサー工藤のもとに届けられた一本の心霊動画。現場を検証すべく番組スタッフと動画の投稿者らが訪れた廃墟で彼らはおそるべき体験をする、という話。

前作との繋がりは無いのでシリーズ未見でも問題なく視聴可能。
POVモキュメンタリー形式で撮られており、ノーカット風に進んでいくスタイル。
斜め上に話が進むので想像を超えた展開に飢えてる人にとってはぶっ飛んだ面白さに満ちている。

ただし、映像技術はポンコツ映画クラス。
このシリーズはあくまで「ホラーの皮を被ったギャグ」タイプなので、面白可笑しく見るモノだと分かって見れば楽しく見れるが、前情報なしで見た人にとっては本作を見終えたあと「なんだコレ」と真顔になるのは間違いない。

コワすぎファンとしては、今作はかなり評価がしづらい作品だった。

シリーズ初見のために説明するとコワすぎシリーズというのは一話完結でありながらも一つ一つが一本の線に繋がってるタイプだったのだが、今作はそれとはまったく別の世界線で、しかも“最終作”(?)

つまり、“一本で始まり一本で終わる”正真正銘の一話完結型。
…にも関わらず、シリーズ最終作を飾るにふさわしい作品では決してない。
モヤッと終わるタイプだ。

低予算ながら相変わらず繋ぎ目が分からないノーカット風の撮影方法や物語の展開の仕方には目を見張るものがある。
ただし話は矢継ぎ早に進むのに対し、その舞台装置の上に乗った人物たちの掘り下げがあっさりしてるので、一人一人のドラマが薄っぺらくて心が話に乗れない。

今までのコワすぎ!シリーズでは心霊現場を丁寧に検証し、意外な所から斜め上の真相が判明し、かなりぶっ飛んだ展開に物語が走っていく…
この流れが面白かったのに今作では「検証パート」と「意外な真相パート」をすっと飛ばして「ぶっ飛んだ展開に走るパート」のみで構成されている。
そのため、謎もほぼ回収されない。

・【本作最大の難点】

たしかにぶっ飛んだ展開パートが一番面白いのだが、今作はモキュメンタリーで一番大事な「リアル描写」が欠如している。そのため、最初から最後までぶっ飛んでると現実味が無くてシラけてしまう。
また舞台が超有名な『カメラを止めるな!』と同じ撮影場所なので、最初からリアルさがあまり感じられない。他に撮影できる廃墟なかったの?

バカバカしいけど話がぶっ飛んでて面白い作品なのだが、今までのコワすぎシリーズにあったものを削ぎ落として作られた感じなので、前作と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
なのでシリーズ初見の人におすすめはできない。
シリーズ初見の人にオススメの作品は…

・『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-01【恐怖降臨!コックリさん】』

全作見る時間がなくて、一番面白い作品だけを見たい!という人には…

・『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-04【真相!トイレの花子さん】』がおすすめ。
《予告編》
https://www.youtube.com/watch?v=sG4mlbMoJGQ

一度ハマったら抜け出せないコワすぎの沼。
あなたも一度浸かってみてはいかが?
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