slow

さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅-のslowのレビュー・感想・評価

3.3
【悲しみに満ちあふれた“終幕”。】

TVシリーズとは繋がっておらず、お話を再構成されて新たに制作された劇場版『銀河鉄道999』の正当なる続編であり最終作。
前作で素晴らしいフィナーレを飾ってるし完成されたドラマを魅せてくれたので、正直言うと、今作は見なくても問題はない笑

というのも監督は前作でやりたい事をやり尽くしたらしく、今作の制作は乗り気じゃなかったらしい。続編を希望するプロデューサーが逃げ回る監督を新宿駅まで執拗に追いかけて無理矢理説得して作らせた作品だったんだとか。(※詳細はhttps://www.cinematoday.jp/news/N0127970)

ただ今作は前作でやり残した事をやり遂げた意味合いが強いので、続編として切っても切り離せない一本になっている。
また今作は「戦争要素」が濃く、劇伴やキャラの立ち位置にスターウォーズ要素もあるが、スターウォーズほどの明るさはカケラもない。
重く、虚しい、悲哀に満ちたもので、いつまでも終わらないウクライナ戦争で戦ってる人達を見てるかのようで前半はしんどかった。

メーテルが登場するのも遅いので前半は銀河鉄道999要素は少ないが、中盤から本来の要素を取り戻す。
ただ前作のワクワクする冒険要素は消え、今回は「行き先不明の謎めいた不穏さ」が全体的に漂っていて、敵か味方か分からないキャラが近くに二人もいる事もあって前作以上にシリアスさが際立っていた。

中盤で流れる、セリフが一切ない宇宙空間での移動シーンが個人的に最高の名シーン。
そこで流れた不穏でミステリアスな雰囲気が加味された劇伴曲がたまらなくて最高だった!

…ただし、終盤は前作同様で強引に終わらせた印象が強く、同じような光景を10分くらい見せられた事による「画の退屈さ」が目立ち、肝心のラストシーンもドラマチックさが今作は薄くて、味気ない幕切れは不完全燃焼だった。
どうしても完成された最高傑作だった前作と比較してしまう。

この気持ちの対処法としては、今作の続きが描かれた漫画『銀河鉄道999 ANOTHER STORY アルティメットジャーニー』を手に取ることをお勧めする。
あんな別れ方では悲しいだけだから。

【総評】
今作の内容に若干の不満はあれど、戦争や別れの悲哀を絵で魅せる天才だと改めて感じさせられたし「名作」と呼ばれるのも納得できる。

個人的にはメーテルが今まで一緒に旅してきた過去の若者たちを描いたスピンオフシリーズが見てみたい。
slow

slow