「なぜ君は総理大臣になれないのか」「香川1区」の大島新監督の最新作。
安倍元首相の国葬が行われた2022年9月27日当日の日本の各地域で取材された映像から、その日を振り返るドキュメンタリー作品。
非常にフラットな目線の内容になっているとは思いましたが、ドキュメンタリーとして面白みを感じるかというと、あまり印象に残る内容ではなかったです。
国葬に賛成な人にも反対の人にも、無関心な人にもカメラが向けられていて、それぞれの言い分、立場や安倍元首相の貢献や功罪も含め、偏りなく描かれていることは公平であると思う反面、どこに対しても薄く浅いことが、監督の過去作のようなドキュメンタリーとしての引っかかりを感じない、あっさりとした内容に納まってしまっている原因と思えました。
それでも、辺野古基地建設前に居座る現地の方の無言の抵抗であったり、安倍元首相殺害犯をモデルとした映画「REVOLUTION+1」の上映館や監督へのインタビューシーンは、国葬に対する意思表示、表現の1つとしては貴重な記録と言えますし、そこをもっと深掘りすれば、また違った味わいの映画になったとも思いました。