じぇいらふ

ほかげのじぇいらふのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.8
塚本晋也監督作6年ぶりの新作。これよかったです✨いつもの塚本作品のエグイ表現は抑え気味ですが、その分感情的に刺さりまくります。

『野火』の続きとも言える作品で、続く『斬、』『ほかげ』である意味戦争3部作だそうです。ここ最近の作品の中では一番好きですね。
こんなに泣ける塚本作品てはじめてじゃないかしら?(そんな沢山観てないけど😆)

🎞️部屋 女が寝てる おっさんが飛び込んできてまた出てく 女が起き出して観ると少年が隠れててまた逃げる。女また寝る、、、別のおっさんがやってきてお酒を持ってくる 女とイタす 女の腕 タイトル~はじまり このはじまり方は良いなあ👍

📖敗戦後の日本。戦争で家族を失い体を売ってなんとか生活している女のところに、戦争孤児の少年がやってくる。そこに引き揚げで行く先のない青年も女の元にやってきた。3人の奇妙な生活がはじまるが。。。というおはなし

女=趣里と少年=塚尾桜雅の目力が凄いです。朝ドラと大河ドラマですな。そういう意味ではNHKってやっぱり良い役者発掘してるのね。

趣里の演技がとにかくすばらしいです。体を売る女性としての見え方、母としての見え方とか変わっていくのが凄い。顔と体と全体で演技してる。朝ドラ『ブギウギ』観てなかったけど、趣里ってすごい女優ですな!朝ドラ今から観ようかしら。

ストーリーは前半と後半の2部構成で、前半は女と少年と青年の生活の話でほぼほぼ居酒屋の中だけで展開する。
後半は、少年とテキ屋=森山未來が、外に出てなにやら仕事があるらしい~という話。雰囲気が全然変わります。森山くんはもう良いに決まってる笑

一応戦後すぐの設定なのだが、時事的なトピックやら、ニュース的な外部情報が全然ないので、わからない人にはすぐわからないかもしれません。
ドラマが進むに連れてだんだん、部屋→外の世界→闇市等人々がいる世界と展開していくことで、だんだんいろんな事が、わかっていく感じです。

子供がいるので、子供の出てくる話は涙腺緩くていけない。子供が頑張る話はもうダメです😭ズルいす笑
塚本作品も『鉄男』のイケイケ感から随分変わったなあと思いますが、最近の塚本作品のストレートなメッセージ性と明確なドラマ性もいいですよね(それでも謎が多いですが)
ラストの衝撃。。。あれはいろいろ解釈があると思いますが、少年が去って行く感じとかなんかもう文学ですな。

音楽は石川忠なんですね。もう亡くなった方なので、今回も過去作品からの引用なのかしら??監督のこだわりなんかなあ。他の音楽家は使わないのかしら?

多分、普段塚本作品観ない人にも伝わる作品だと思います。もう正月最初から、今年ベスト候補、必見な1本👍👍👍👍