ヒゲ人類

ナポレオンのヒゲ人類のレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.9
ナポレオンの戦略家、暴君な要素が誇張というかピックアップされている印象だったけれど、日本人みたいに名前は知ってるけど何したか良く知らない勢に対しては危ういアプローチな気もするが良いのだろうか。それともナポレオンがどういう奴かある程度知っている事はそもそも現代を生きる上での当たり前のリテラシーなのだろうか。
まあそれは良いけど、ロシア遠征では寒さで疲弊もあるが赤痢の大流行が省略されていたりロシアは冬到来を見越した戦術として撤退戦を行なっていたのにケツまくって逃げた様に描かれていたりその辺は少しノイズにはなった。
他にもフランス銀行を作って融資を推奨したり法律を国民主導に切り替えたり今日に残る功績もあるのに、この映画におけるキャラクターを強めるためかその辺りが描かれていない。これはナポレオンを語る上で外すと別な人物像になってしまう様な気がしなくも無い…
それにしてもトゥーロン時のナポレオンの年齢はどうやってもホアキン・フェニックスの見た目では無理があるな。
が、大作制作時のリドリー・スコットらしさがきちんとあって「映画観たな〜」という満足感を得られる事はそれなりに担保されていると言える。マーティン・スコセッシやジョージ・ミラー笑とはまた違う「映画観たな〜」の感覚。
MCUやDCももちろん素敵な時間をくれるのはくれるんだけど、この辺は近年になればなるほど突拍子の無さが加速してきて、且つ自分は歳食ってるので食傷気味になってきていたので、今作のような「映画ってこうだよね(偏見が強めだが)」な作品がありがたい。

リドリー・スコットはかなり良い歳だがあと何本新作が観られるんだろう。
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