くっっっそ泣いたんですけど。
言いたくないし某村上御大も自分に同情するのは下劣な人間のやることだと断じているのであんま認めたくはないのですけど、市子とのシンクロ率ハンパなかった泣いた。
夢もなく居場所もなく、この先ずっと月子ではいられないし(いたくないし)、かといって市子でいるためには過去を切り捨てなくてはいけないし。
完膚なきまでに徹底的にアイデンティティを蹂躙されまくりやがりまくる彼女のものがたり。
名前なんてどうでもいい。罪は、一生かかって償えばいい。
ほんのちょっと俯瞰して、落ち着いて周りを見渡せば、すぐそこに望むものはあるのに。
歯噛みします。地団駄踏みたくなります。作り手のてのひらの上でまんまと踊らされたまま、エンドロールを呆然と眺める。
いや呆然ではないのですな。なかば憎しみにも似た、ちくしょう、こんな目に合わせやがって、そうは問屋が卸さねえぞこんちくしょうと思わせる。
手のひらの上で踊るのは心地の良いものでもあるのですが。
監督さん、「名前」とか「13月の女の子」の方でしたか。なんとなく納得。波長が合うのかも。すごい好き。
杉咲花にこういう役を演らせてはいけません。
しかも相方若葉竜也ですか。
アバンタイトルの婚姻届までのなにげないやり取りだけで泣かされるやつなんですが。なんだこのふたり。自然かつリアルにもほどがある。間違いなく邦画界の最高峰の一角でありますな。ありがとうございました。