或るとり

市子の或るとりのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

市子の壮絶な人生。
出自は変えられないから可哀想だけども、市子のたまに出る悪魔的異常性に共感することは到底出来ない。
特に月子の酸素マスクを外すシーン。機械音が響き、妹と目が合うのに泣きも笑いもせず、親が帰る頃には飴(アイス?)食べてる。母親も母親で「市子、ありがとうな」って言って鼻歌歌ってんのこわすぎ…あれトラウマになるわ…限界なのわかるけど、そこで殺すという選択だけはどうしても許せない。この感覚だけはずっと鈍らず持ち続けたいなと思いました。
筋ジスで知的あっても理解はできるから月子はどんな気持ちだったろうかと考えたら泣けた…

とはいえ、長谷川と一緒に居る時の市子は人間らしくてよかった。ありのままの市子として生きている感じ。でもプロポーズされて、急に現実(戸籍がないこと、殺人してること)に引き戻される。つらい。
ケースワーカーが「お前の人生は嘘ばっかり」と言っていたけど、嘘だらけの空虚の中で生きていた方が幸福なこともあるんだな。

たらればだけど、あのケースワーカーが月子になりすますことを止めてたら、市子に戸籍取らせてたら、シンママで介護するの大変だからヘルパー手配してたら…そしたら市子が手を染めることも無かったんじゃないか…とか思っちゃう。ケースワーカー、仕事しろよ!当時の福祉ってこんなぬるかったのか。(いやそんなことないよね)


共感はできないけど考えさせられる、いい映画でした。
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