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夜空に星のあるようにのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

夜空に星のあるように(1967年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

恥ずかしながらケン・ローチ監督の作品を初鑑賞。学部時代の恩師からずっと勧められてきたが、なかなか気分が乗らずに放置していたところ、彼の長編デビュー作を近場の映画館で上映するということで鑑賞を決めた。

本作を観てまず感じたのは、1960年代のイギリス都市部を生きる貧困層、特に女性の肩身の狭さをよく描いているということである。女性は家事をすることが当たり前であり、そのうえ夫の稼ぎだけでは食べていけないから自分も働く。しかし、待遇の良い仕事を得ることは極めて難しく、娼婦にならざるを得ない女性も少なくなかった。このように社会学において長らく議論されてきた貧困と格差、ジェンダーといった問題に対して映像というメソッドでアプローチしている。私が学生時代に苦労して読んだ論文がこうしてビジュアル化されているのを観ると、今日まで本作を放っておいたことが悔やまれてならない。

一方で本作が扱おうとした諸問題に対する姿勢については疑問に思うところもある。しかし、これだけで論文が書けてしまうほどの内容であるから、ここで御託を並べるのは避けたい。とにかくケン・ローチのち長編デビュー作を観た。これだけで十分劇場に足を運んだ価値があるだろう。
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