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エクソシスト 信じる者のBitdemonzのレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
3.8
「続編」という意味合いでの完成度は非常に手堅い。これ迄このシリーズはパート2、3、ビギニング(およびドミニオン)と複数作られているが、一部の前作要素を頂きながら近しいテーマを残しつつ別のアプローチを試みているのに対し、真っ当に1作目のプロットをなぞるように展開し、取り憑かれる子供の数も増えたり、当然だが特殊効果による“狂気の顔芸”はそれはそれはパワーアップされていた。

とはいえだが、この手堅すぎる続編は、前作からかなり時間が空いている(逆に今作るならどうするべきかがスタートなので当たりまえだが)からこそ成立している手堅さであり、若干の“同窓会感”的な側面による思い出補完と、旧来のファンにも賛否を及ばないレベルでの内容のバランス感覚(コレは実にうまいと思う)が成し得る優等生的な完成度ゆえの“刺激の少ない”続編とも個人的には感じる。

今の時代だから、という点では、取り憑かれる子供たちが白人と黒人の2名の少女であったり、「悪魔祓い」という儀式に共通した異なる宗教観を一同に介し“悪とは何か”や信仰、心の弱さ、などについての過去から通じる部分を“多様性”の側面を通して「人間」を描こうとしているのは、なるほど、というかやはり手堅い。

手堅いが故に、やはり個人的にはやや弱く感じてしまった(何度も書くが完成度は高いと思う)。

一先ずこの『エクソシスト』というシリーズをもう一度掘り起こすための一歩と言ったところだと思うので、次作からもっと自由な方向性でのパンチを期待したいと感じた。



個人的な感想としては導入がちょっと長いかなと感じました。丁寧にバラバラな人物関係を纏めていくのに必要だったのかもですが、最後にその人らが集結して「悪魔祓い」するという胸アツな展開になるにも関わらず割りとそこは淡白というか。

儀式の結果も最後にヒネリはあるものの、若干判りづらく(解るんだけども)、これはどうにも「見せ方」の問題なのではないかと思ったりした次第です(しかもモヤモヤする)。


抜かりは無いけどスッキリしない、よく出来てるけど突き抜けた面白さはあまり感じなかったかなと。とはいえ、取り憑き初期症状の辺りからの見せ方は非常にゾクゾクして(教会でのシャウトは実に)良かったです。

またエレン・バースティン含めての“懐かしい”顔ぶれには(ある種の複雑なキモチもありつつ)こちらの顔も綻んだという“再会”の愉しさも多かった作品でした。

次は『来る』みたいな大規模な多数派宗教での「祓いフェス」とかやったりするんでしょうか(笑)それは冗談としても、予想もつかないエッジの効いた次作を楽しみに待ちたいと思います(あればですが)。
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