ここ最近での和製ホラーの中では久々にパンチがあり、また好みが完全に別れるであろう“不条理”な展開(しかも閉鎖的な土地柄！)は大好物なので、設定だけでもなかなか満足度はあった。自分が“普通”だと思ってる主人公の価値観が丸ごとブッ壊される映画って最高です(泣)。
とはいえ、監督自身が語る元々“怖がらせる目的で作ってない”点が、やはりコチラの怖がりたい期待値との相違を生んでいること、“奇怪な行動”のそれぞれが、ギャグとホラーの紙一重とするバランスで完全にギャグ側に振り切っていると感じて(これは個人差がある)しまったシーンなど「絶対もっと怖くなるのに勿体ない！」と思ってしまった箇所も。演技経験のない方に演じてもらう部分では“その異質感を奇妙なもの”として咀嚼しようと頑張ったが、やはりどこか“切ない気持ち”が勝ってしまったのも事実(悪くは無いんですが)。
また予告編で見ることの出来る強烈なインパクトのあるシーンの数々の“先にあるもの”にも期待していただけに「とりあえず観たかったものは見れた」という点での満足度ではある(中盤からの展開は有耶無耶にせずに整合性の上での絶望感も欲しかった気もするが)。
“幸せ”の尺度など本来個人基準ではあるけど、もしそれが「他人の不幸の犠牲」によって成し得てるのだとしたら…という点は、いま“幸せ”だと感じている人たちの裏側で苦渋を舐めている人が居るのだという“気付き”をわかりやすく(これには語弊があるかもですが)示しつつ、現実を受け入れる事で見出す幸せの考え方(荒療治ですが)、それに加えて“幸せ”に暮らせている(いない)理由には“何かウラがあるんじゃないか？”という着地も良いです。
願わくば、いま“幸せ”を謳歌してる人たちにこの作品を…
「都会生活に疲れた女子が実家に帰って生きる活力を取り戻すハートウォーミングコメディ」
…という嘘の情報(ある意味では間違いではないんだけど)を与えた上で視聴してもらい“ワケ分からん上にダウナーな気持ち”になるという“犠牲”になってくれたら…自分は最高に“幸せ”になれそうです(嘘です)!!
