ウォーターライブラリー

悪は存在しないのウォーターライブラリーのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

人間同士の善悪といったものが二項対立的に描かれるのは、あくまで人間同士の話だけに過ぎず、それとは関係なしに自然界が存在している。それがテーマの一つとして描かれている。この点において、フリーヌル・パルマソン監督作品『ゴッドランド』との類似性が見出される。自然が人間の搾取の対象や保護の対象という文脈を超えて、超然的に存在している。

物語自体は3日間のみで完全に完結している。1日目は便利屋の日常、2日目は公民館での説明、3日目は東京からのグランピング業者の介入から結末までである。1日目と3日目は構図的にほぼ同じように反復されている。そこに、違和な存在として東京からの2人が対比的に介入されることにより、不調和音のまま流れる結末への動線がわかりやすい。

少女の超越性を自己献身によって表現し、寓話性に満ちた結末を迎えた点については、首肯しかねる。仮にこれは濱口の思想でなく問いを促すものであったとしても、生理的に受け付けられない。