記録
経営不振、実子の病死、妻との倦怠期…エンツォ・フェラーリの再起を賭けた実録映画。
1950年代後半にフェラーリがここまで苦労人だったとは知らなかった。今でこそ高級車として有名だが、実際に私は本人を知らない世代になる。しかし劇中を鑑賞すると彼は車に賭け、速さを求めた人物だったと窺わせることが出来る。
私は車やカーレースには滅法に詳しくないためそこまで書き記すことは出来ないが、本作を鑑賞してカーレースは「死の境界線」の競技だということがよく分かる。それに加えて家族の物語も交わるためフェラーリの人間性がよく分かる作品でもあった。
フェラーリは所謂ダメ男と普通に捉えてしまう位置になってしまうのだが、イタリア人であるためここは許容範囲でもあり、ここは日本人とは違うイタリア人特有なものがあるのだろうと感じ取ることが出来る。
フェラーリを演じたアダム・ドライバーもイタリア訛りがちゃんとなっており、彼も『ハウス・オブ・グッチ』に続いてイタリア人を演じたが違和感がなかった。
妻ラウラを演じたペネロペ・クルスも怒りと悲哀に満ちたお芝居は良かった。
また本作はイタリアの観光映画としても最適な作品である。
本作を手掛けたマイケル・マンは車好きとして有名でもあり、フェラーリ愛好家としての顔を持っている。ヴェネチア国際映画祭で審査委員長を務めた際は実際にフェラーリの本社を訪問し、工場見学をしたという選りすぐりのマニアとして知られている。だから本作はマイケル・マンでしか描くことができない作品なのは間違いない!
但しここで一つもの申したいのが、こういう作品こそIMAXなどの劇場システムはあった方が良いのではないか…と。
本作はIMAXや4DX向きの作品でもあるし、そういった劇場システムでも観たくなる作品の一つだ。TLでは様々な意見が分かれているが、私はこの作品は肯定派だ!オススメです!