ChanpuruPoo

DOGMAN ドッグマンのChanpuruPooのネタバレレビュー・内容・結末

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

ある夜、大量の犬を連れた車椅子のドラッグクイーン、ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)が逮捕される。住んでいた廃屋からはギャングたちの死体の山が発見され、謎が深まる中、聴取にやって来たエブリン(ジョニカ・T・ギブス)に彼は自身の人生を語り始める…。

さながら『101匹わんちゃん』のような大活躍をする犬たち(口に物を咥えてトコトコ歩いておつかいする様子がかわいい)と自由自在に意思疎通ができる主人公を描くちょっと荒唐無稽な要素がある作品だが、ノリとしてはあくまで全編通じてシリアスというのが独特なバランスで面白い。ブービートラップを駆使するクライマックスの籠城戦も、それを作動させるのが犬というところがまた楽しい。
ストーリー展開は、「エキセントリック」で「ミステリアス」な人物として登場するダグラスの人生を紐解いていくというものだが、いくつか気になる点もあって、特に引っかかったのは彼のキャラクター造形だ。身体障害者やクィア性を「可哀想な人」のイメージと安易に結びつけるのは、ステレオタイプなマイナスイメージを見る者に与えかねず、当事者に対して失礼な気がして、個人的には好きではない。自らの足で立ち上がって死にゆく主人公を荘厳な演出で描くあのラストシーンを見ると、本作は上記の点についてあまり意識していないような印象も受けた。結局そうした要素が、主人公の「悲劇性」や「エキセントリック」さを表現するための、(テーマではなく)表層的なモチーフに留まってしまっている気がする。それでもやはりケイレブ・ランドリー・ジョーンズの演技は良くて、大失恋後の絶望ぶり(ある意味ベタな失恋話が、幼少時の壮絶な虐待と並んで映画においてかなり大きなウェイトを占めているのも独特なバランスだと思った)や、初めてショーでパフォーマンスする場面は胸に迫るものがあった。他に気になった点としては、保険会社の人との絡みが不必要に長いと感じた。楽屋でのやり取りも間延びしているし、アウトロー感を表現するためだとしても、一般人を殺してしまう展開は、流石にどういう気持ちで観ればよいのか分からなくなってしまった。
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