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コット、はじまりの夏のChanpuruPooのネタバレレビュー・内容・結末

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

家庭を顧みない父親(マイケル・パトリック)のもと、食事すら満足に得られない日々を過ごす少女コット(キャサリン・クリンチ)。母親が出産を控えているため、夏休みの間、親戚夫婦のもとに預けられることになった彼女は、初めての安心して過ごせる場所で成長していく。

物語自体は手垢がついたモチーフではあるが、変に甘くなりすぎたり奇を衒ったりしない、地に足のついた演出スタイルに好感を持った。例えば、閉塞感を表現していると思われたスタンダードサイズの狭い画面が、やがて親密さの表現に転換していくのが感動的だ。また、コットとの距離感を表現するのに、登場人物の顔をはっきりと写す/写さない、の演出も効果的だったと思う。一部の音楽や、過去のシーンをもう一度インサートするクライマックスの演出は少し饒舌すぎる印象を受けたが、ある単語が全く異なるニュアンスで繰り返されるエンディングには、思わず泣かされてしまった。
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